検索結果の順位は表示回数とクリック数の両方に影響します。同じ1ページ目でも、1位と10位とでは雲泥の差があります。今回はキーワード戦略の重要な指標となるキーワードの順位とクリック、そしてトラフィックの相関関係について検証しました。

今回、比較的短期でも確認可能な検索ボリュームのキーワード「SEO対策」で上位に入ったのでそれをベースにして、順位・表示回数とCTRの相関関係について説明します。

前提となる知識

・例え1位であっても月間検索数と実質的な表示回数は合致しない。
月間検索数は完全一致のキーワードが検索されたGoogleの平均公表値です。各サイトのタイトルとディスクリプションが表示された回数を指します。しかし、実際の表示回数は月間検索数よりもずっと少なくなります。

・なぜ合致しないのか?
例え1ページ目であっても、最初に表示されるエリア(ファーストビュー)はデバイスによって異なります。スマートフォンのように1位すら出ない場合もあれば、PCの大画面で8位くらいまで表示されるケースも有ります。下位が表示されないまま、上位の結果をクリックして、ユーザが再検索で戻ってこなければ、表示すらされずに終わる2位もあるわけです。

・一般的に下位程クリック数は低くなる。
同じ表示回数であっても、上位と下位ではクリック数が異なります。一般的には上位の方がクリックされやすく、下位の方がクリック数が低くなる傾向にあります。さらに上述の実質的な表示回数と相まって、CTRは下位に行く程低くなります。

この傾向だけに限って言えば、タイトルと内容次第で下位であってもクリック率が高くなるケースもあります。SEOの内部対策の解説記事では必ずと言って良い程、「タイトルと詳細説明を改善してクリック率の改善を図るように」とアドバイスがあります。

しかし、これも上位のサイトが同じように対策していれば、やはり下位の方が不利になるのです。つまり、画面表示で制限されている表示回数と、検索者の行動から考えて「常に限られた範囲」でしか改善の余地はありません。

表示割合とCTRの関係

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判りやすくキーワード「SEO対策」で説明します。これを書いている時点での順位は8位です。上記の数値は本来推定でしか出せないのですが、SEO対策で1位のディーボさんが月間訪問数を公表してくれたので解明できました。(お陰で記事も書けました!)

1位のトラフィックは月間5,529回。(Google+Yahoo!合算)
5,500回÷30日=180回/日 CTR 3.7%相当
(※ CTRがちょっと悪いですね。2位の記事の方がたぶんCTRは良いでしょう。)

8位の表示機会が25%でCTRが1.3%だとするとー
180×0.25×0.3=15回/日 なので、ほぼ理論値通りです。

8位以降は実数値ですので精度はそこそこ高いと思います。また、他サイトのワード傾向も含めて算出していますので、大きく外してはいないかと思います。

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以下に順位変動時のトラックデータを掲示します。全て5日間の日平均です。(トータルではありません)

A: 平均掲載順位 8.2位
7/15(月)〜 7/19(金) 表示回数 1240回/日 クリック数16回/日 CTR 1.3%

B: 平均掲載順位 11位
7/08(月)〜 7/12(金) 表示回数 680回/日 クリック数9回/日 CTR 1.3%

C: 平均掲載順位 13位
7/01(月)〜 7/05(金) 表示回数 800回/日 クリック数9回/日 CTR 1.0%

D: 平均掲載順位 15位
6/24(月)〜 6/28(金) 表示回数 680回/日 クリック数5回/日 CTR 0.8%

E: 平均掲載順位 18位
6/17(月)〜 6/21(金) 表示回数 680回/日 クリック数5回/日 CTR 0.8%

F: 平均掲載順位 20位
6/03(月)〜 6/07(金) 表示回数 680回/日 クリック数3.2回/日 CTR 0.5%

G: 平均掲載順位 23位
5/20(月)〜 5/24(金) 表示回数 680回/日 クリック数3.2回/日 CTR 0.7%

H: 平均掲載順位 30位
5/20(月)〜 5/24(金) 表示回数 550回/日 クリック数3.2回/日 CTR 0.6%

特徴的なポイントは3つ

ポイント1 8位になった時、表示回数が2倍になりました。その結果、同じCTRであっても、2倍のアクセス数になります。

ポイント2 B:11位の時 D:15位の時を比較するとCTRがほぼ倍になっています。そのため、同じ表示回数でもトラフィックに変化が出ています。F:20位の時と比べると大きな違いがわかります。

ポイント3 F:20位の時以降、3ページ目でもほぼ同じ表示回数があります。「SEO対策」というワードに限れば、3ページ目でも2ページ目と変わらない表示回数があり、CTRもさほど変わりません。

実はロングテールは難しい

この検証で判ったことは、推定順位からトラフィックをほぼ正しく計算できる事です。そして、ロングテール施策では多くのワードで上位になるように施策したとしても3位程度まで順位を上げないと極めて小さなトラフィックにしかならないという事です。計算上は1日の期待値が1クリックにならないケースも少なくありません。

例えばー 月間検索数 2000のワードで10位であった場合、表示可能性25%以下 250回程度で(非常に良くて) CTR 3%だとしたら月のアクセス数は 7回/月(日平均0.2回)です。よって、100単位の規模で1ページ目に入れて拾っていかないと「SEO対策」のようなビッグワードには届かないわけです。

ビッグ、スモール、ロングテールの議論は意味が無い

狙うべきはお金になるキーワードです。どんなにトラフィックを運んでも、最後に目的達成しなければ意味がありません。目標(コンバージョン・反響)を産むワードは、月間の検索数に関係無く多くの場合は難易度が高く、それが検索数が少ないワードであれば、むしろ厳しい状況になる場合が多いのです。その辺を見極めて対策しないといけません。特異点(順位に比較すると非常にCTRが高い等)のあるキーワードを見いだすことも重要です。

もし上位に上がる見込みが当面無い「重要ワード」なら、検索広告の方が確実です。検索広告も低額なら自分で出来ます。ライバルが少ないのに効果の高いワードを見つけられれば、低コストの検索広告を出しつつ、SEO対策で上位を狙うのが良いでしょう。

このキーワード「SEO対策」で留意すべき点

このキーワード「SEO対策」はこのサイトにアンマッチなキーワードかも知れません。データが取りたいことも有り、かつ、「SEO」は月間検索数30万・競合が極めて多いという途方も無く競争が激しいワードだったので「SEO対策」に絞りました。

なので、もっとマッチしたキーワードであれば、もう少しCTRは改善すると思われます。
それでも8位で3%以上ののCTRにするのは困難かなと思いますが。そのくらい「もやっ」としたワードです。

「SEO対策」はSEO業者が9割方なので業者を探しているユーザの期待に、このサイトは応えられていません。ボクもSEO業者であったなら一稼ぎできていたのかと思います。残念。 ^^;

明日も検証記事。90日間で8位に上げた結果わかった検証です。土・日に書きためました。宜しければ読んで下さいませ。