ペンギンアップデート2.0以降、多くスパマーは疑心暗鬼になっています。Googleは「卑怯にも」ウェブマスターツールのスパム報告という目安箱を設置して、スパマーを陥れ、ウェブマスターツールに登録しないと警告がわからないようにしたからだとの主張です。

リンク解除から判明してしまう手口

  • スパムになったのかを確認するためにはスパマーの嫌いなウェブマスターツールに登録する必要がある
  • 解除はこのウェブマスターツールを通じて行われ、自分がなぜこのリンクに関わったのか説明が必要
  • リンクを解除する必要があるが、どこまで解除すれば良いのかが判らないため可能な限り解除しなくてはならない
  • 解除できない理由を丁寧に説明する必要がある。

目安箱で判明してしまう手口

・Googleウェブマスターツールのウェブスパム報告からスパムを報告できます。

ただ、ほとんどのユーザにとって、このウェブスパム報告の存在すら知らないと思います。ただの検索利用者にはほとんど必要が無いからです。知っているのはSEOに関わっているウェブマスターツールの利用者か実被害に遭った一部の利用者。このウェブスパム報告は「ホワイトハットがブラックハットを告発する」ためのものに見えますが「ブラックハットがライバルのブラックハットを陥れる」ためにも利用可能です。

ブラックハットSEOをしていて、特にアフリェイトやリンクペイドで成功している人たちは一番狙われているそうです。

ウェブスパム報告

Googleはスパムリンクを排除するために他の選択肢があったはずです。例えばGoogleが不正であるとしたリンクを全て無効にするだけでも、スパム排除は成功したはずです。

しかし、Googleは敢えてこれをイベント化しました。ことさらにPRが必要だったからだと、私は思います。

Googleは営利を追求する企業です。他の経済活動を行う企業と何ら変わりありません。ただ、優等生ではなく、場合によっては企業モラルを問われるような行為をしたり、暗躍する闇の諜報機関のような扱いを受けたりして、何かと話題になります。それでも、このスパムに関してみればGoogleの主張が理にかなっています。(善悪以前に効率的である)

スパムも、それが価値の無いスパムと判明するまではWebデータの一部で有り、Googleはそれらもクロールして蓄積し、リンク分析し、インデクス化します。これは、コンピュータパワーを膨大に消費します。Googleは企業として株主、投資家、社員のために利益を最大化する責務を負っています無駄なコンピューターパワーの消費は最小限に抑える効率性が重要なのです。

スパム以外ではスマートフォン用のモバイルクローラーが「モバイルサイト側の誤った設定により」適切に活動できないのはリソースの無駄になるため適切にするようにとも述べています

その一方で、Googleの検索エンジンのアルゴリズムはウェブ全体のリンク構造を重視していることが特長で有り、それにより高い精度を保とうとするシステムですから、リソースは必要以上に消費されてしまう傾向にあります。同じコストを掛けるのなら、全く価値の無い1ページにコストを掛けるより、価値があるかも知れないのに、その価値を正しく認識していない1ページを探すためにコストを掛ける方が有益なのは明白です。

にも関わらず、スパムを排除するためにはスパムであるかを確認するためにより多くのコストを掛けなければなりません。もし、黙っていたら、「より巧妙なスパムを発明することを」助長するだけであり、そのスパムを探すために更にコストを掛けねばならなくなります。

今回のペンギンアップデートは最小のコストで効果を最大化するためのイベントとして、大成功だったと言えるでしょう。

#手動オペレーションによるペナルティ実行と警告メールは日本でも最近増えているので、ウェブマスターツールは定期的に確認した方が良いようです。