前回はスマートフォン(スマホ)対応サイトのSEO対策で概略を述べましたので今回はスマホに於けるSEO対策の詳細について、纏めてみました。

【目次】

  1. GoogleはスマホSEOにレスポンシブを推奨している
  2. レスポンシブにおけるリスク
  3. リダイレクト型の切り替えリスクに注意する
  4. モバイルユーザエージェントによる切り替えリスクに注意する
  5. SEOスパムと判定されないよう留意する
  6. スマートフォン用クローラに拾われないとスマホでの検索順位が変わるのか?
  7. 全てのリソースは可能な限り同一を推奨
  8. スマートフォンSEOで注意するべき点
  9. スマホ変換有料サービスを利用する場合

1.GoogleはスマホSEOにレスポンシブを推奨している

https://developers.google.com/webmasters/smartphone-sites/details?hl=ja

【レスポンシブのPCとスマホサイトに関する要件】
同じドメインである。(same domein )
同じURLである。(same url)
同じHTMLである。(same html)
・同じjavascript/cssを読み込み、その後デバイス毎に最適化する。

◎ 【PC/タブレット/スマートフォン】http://www.[example].com/

・クローラがスマートフォン用のクローラに再予約してクロールするのはリソースを2重に消費する。
・レスポンシブであれば、それを1回にする事が可能になる。
リダイレクトには設定リスクが存在する。
・ @media only screen and([device-size]){….. はデバイスの幅を基準とするため、ユーザエージェントの切り替えリスクを回避出来る。

2.レスポンシブ対応におけるリスク

レスポンシブの最大のリスクはファイルボリュームが大きくなり、表示遅延が発生する可能性が高まる事です。PC用ウェブサイトの多くは高速回線を前提に作成しています。しかし、モバイルアクセスの場合、回線速度は遅くPCと同じ容量を読み込ませようとすると、数秒〜数十秒の遅延が発生します。WifiやLTEが普及し始めている現在でも、移動中や、都市部から離れたエリアでは低速の回線しか使えない状況も少なくありません。

Googleは表示速度もモバイルサイトSEOの重要項目としています。「レスポンシブ」=「最も良いとは限らない」ので注意しましょう。また、レスポンシブである場合、特に画像の読み込ませ方には多くの工夫が必要です。

また、比較的スペックは高くなりつつありますが、それでもプログラムの処理負担や処理遅延もPCに比べると大きく、場合によってはブラウザが落ちてしまうようなケースも有るので、ブラウザ・レンダリングに関する負担軽減策も必要になります。

3.リダイレクト型の切り替えリスクに注意する

レスポンシブ以外の方法でスマートフォン対応を行い、尚且つ、SEOの評価を落とさないためには、より多くの施策が必要になります。

・スマートフォン(スマホ)に対して動的に異なるHTMLを配信する場合は、キャッシュサーバなどにデバイス毎の違いがある場合、それを明示する必要があります。(Vary HTTP)

https://developers.google.com/webmasters/smartphone-sites/redirects?hl=ja

・リダイレクトの場合:ドメインが変わってしまうとリダイレクトが必要になります。リダイレクトでURLを変更する場合、各ページが1対1で正確に紐付いている必要があります。

例:
【PC/タブレット】http://www.[example].com/sample/sample.html
【スマートフォン】http://m.[example].com/sample/sample.html

乱暴に全てのリダイレクトをスマートフォン(スマホ)対応ページのトップに向けてしまうと、Googleの評価が低下します。

4.ユーザエージェントによる切り替えリスクに注意する

https://developers.google.com/webmasters/smartphone-sites/detecting-user-agents?hl=ja
ユーザエージェントで切り替える場合、ユーザエージェントのリスト更新を定期的に行わないと切り替わらないリスクが発生します。

ユーザエージェント・リストの定期的な更新が必要
・ユーザエージェントのリストに無いデバイス(マイナーな機種であったり、最新の機種)では不一致となる。

5.SEOスパムと判定されないよう留意する

・リダイレクトスパム:ユーザーのミスであったり、一部の粗悪なスマートフォン対応サービスの仕様(全て1URLにリダイレクトしてしまう)等はリダイレクトスパムと誤認される場合がある。検索スパムと扱われないように注意してください。

・クローキング: Googlebot-Mobile ユーザー エージェントだけにHTMLの内容を変更する行為はクローキングに相当します。Googlebot-Mobile ユーザー エージェントだけに特別な処理をしないで下さい。

6.スマートフォン(スマホ)用クローラに拾われないとスマートフォンでの検索順位が変わるのか?

・NO:汎用のGooglebotで完結するのが望ましく、スマートフォン専用のクローラを引き込むために何らかの処理を加えることは控えるべきである。

ユーザーエージェントの異なる Googlebot ごとにページをクロールする必要がないため Google がより効率的にコンテンツを発見することができます。-Google公式

もし、スマホとPCで結果が違うと感じているなら、それはスマートフォン専用のクローラが原因では無く、O2O(Online to Offline)を意識して位置情報等による検索ニーズ別の評価をモバイル用に組み入れているからです。スマートフォン専用クローラが優位性をもたらしているわけではありません。

7.全てのリソースは可能な限り同一を推奨

https://developers.google.com/webmasters/smartphone-sites/javascript?hl=ja

HTML、CSS、JavaScript、スマホ用に別のファイルに切り替えるような特別な処置はしない方が良いです。デバイスやユーザエージェントに合わせて動的に「読み込みファイルを変えてしまう」設定はしない方が良いようです。

但し、読み込まれた後のデバイス毎の見た目の最適化はした方が良いです。デバイスのサイズに合わせて、大きくしたり、横・縦の配置を変更したり、トグルにするなどは「ユーザのためになる処理」なので推奨されています。

また、画像はPC版とスマホ版では切り替えた方が良い場合があります。速度も検索順位の評価に繋がりますので、モバイルなどの低速回線である場合、画像は軽い方が良いからです。(LTEがもっと普及すれば気にならなくなるとは思いますが。)

8.モバイルサイトSEOで注意するべき点

・動画が再生できない
・リダイレクト先を誤っている。(リダイレクト・スパム)
・canonical指定を誤っている。
・リダイレクト先が存在しない。(404Not Found)
・PC←→スマホの切り替えリンクがコンテンツと合致していない。(リンク・スパム)

9.有料サービスを利用する場合

有料サービスを利用する場合、以下の点には注意した方が良さそうです。

■ リダイレクトに制約がある、自分で管理できないサービスを選んではいけません。
全てのスマートフォン(スマホ)ページでcanonicalをPCトップに向けてしまう場合がある。
全てのPCページをスマホサイトのトップにリダイレクトする場合がある。
全てのページのPC版←→スマホ版の切り替えがトップにしか張れない場合がある。
※全てのリダイレクト型サービスがこの仕様とは限りません。しっかり、構築可能なサービスもありますので、比較検討の際に確認しましょう。

特に低価格・無償の場合は上記の仕様である場合が多いようです。設定を単純化するためですが、全てSEO対策にはマイナス要因です。

■ 更新に制約があるサービスを選んではいけません。
コンテンツを更新しても即時反映できないバッチ型の場合がある。
・自動のサーバキャッシュで、かつキャッシュがコントロールできない場合がある。
Google Analyticsやウェブマスターツールと連動できない場合がある。

■ ページ作成に制約があるサービスを選んではいけません。
作成ページ数に制限が有り、拡張性に乏しい。
メニューの数に制限がある。
ページの文字数に制限がある。
画像などを別途アップロードし直す必要がある。

SEOの観点からページはPCサイトとスマホ版サイトが1対1になっていて、かつ、あまりテキストの内容に変化が無いことが理想です。サービスの料金や利用コースを変えたりする事で制限解除できるなら、まだ良いのですが、ページ数が固定で変更できない場合もあるので確認しましょう。メニューの数に制限があるなどの場合、サイトの内部リンクの密度に限界が生じます。結局PC版と大きく離れていく事態も考えられますので、そちらも確認した方が良いでしょう。

【SEO対策の基礎学習 目次】